feature articles 10/2001

問題あり?レーティング制度を考える


ゲームがテレビや映画と並んだ瞬間、問題が起こりました。
いわゆる、バーチャルシネマ「ナイトトラップ」の登場です。
ホラームービーでは当たり前だったスプラッターシーンがゲーム上で完全に再現されたインパクトは想像以上に大きく
アメリカでは一騒動起こり、その騒動は日本でもニュースで取り上げられるほどでした。
ただし、日本では問題にすらなりませんでした・・・・・


コンピュータエンターテイメントソフトウェア協会

ここは日本のコンシュマーゲームの話です。
日本の場合、長い間レーティングシステムはゲームとは無縁でしたが
アメリカ色の強かったゲーム機3DOが細かく定めていたのいたのが印象的でした。

その後、セガも追随するように始めましたが18推に指定されるゲームの多いこと・・・・
日本人は今までそんなことに無頓着に生きてきたので、セガのゲームはやばいのではないか?
などの偏見や戸惑いの方が多かったのも事実でした。

すぐ後、セガが中心となり「テレビゲームソフト倫理審査機構」を設立。
全年齢18推18禁の3段階表記をすることで18禁の表現がOKになりました。

しかし、「大人ってダメですね」としか言いようのないゲームクリエイター倫理の低さをさらけ出し、
そのうちに曲がった解釈とも言える18禁の性的表現ばかりを「売り物」にした安易なゲームの乱発を招いただけでした。
その後、「テレビゲームソフト倫理審査機構」は18禁の発売禁止を決定して収束していきます。
この時点でもし、生と死、男と女といった深みを増すために使ったゲームが多ければ18禁は定着したのかもしれませんが
ユーザーとしても18禁=性の対象としか見てなかったというのが実のところでしょう。

対するプレイステーション(SCE)側ではファッションとも取られかねない
暴力表現シールが指定され
これもまた、消費者の購買意欲を促進するばかりのものになったことは周知の事実です。

その後、CESA(コンピュータエンターテイメントソフトウェア協会)が業界統一基準となる倫理区分を作り、
今に至ります。
意外と知られていない事実ですが全てのゲームには3段階の区分分けがなされています。
(以下そのまま全文をCESA既定の通り表記しました)

「A」区分
ユーザーに対する注意喚起が必要ないもの

  • 殺人、傷害、暴力等の犯罪を表現し又、これらの手口を示唆する表現を行っていない。
  • 人間または動物などの肢体を分離した状態や、それらが欠損した状態を表現していない。
  • 麻薬、シンナー等の規制薬物を不正に使用する表現を行っていない。
  • 不倫、不純異性交遊、売春等不健全な性風俗に関する表現を行っていない。
  • その他粗暴性、残虐性を含む表現をしていない。

「B」区分
ユーザーに対する注意喚起が必要なもの

  • 殺人、傷害、暴力等の犯罪表現や、これらの手口を示唆する表現あるが、犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりするとは認められないもの。
  • 人間または動物などの肢体を分離した状態や、それらが欠損した状態の表現はあるが、犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりするとは認められないもの。
  • 麻薬、シンナー等の規制薬物を不正に使用する表現はあるが、犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりするとは認められないもの。
  • 不倫、不純異性交遊、売春等不健全な性風俗に関する表現はあるが、犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりするとは認められないもの。
  • その他粗暴性、残虐性を含む表現はあるが、犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりするとは認められないもの。

「C」区分
発売を禁止するもの

  • 殺人、傷害、暴力等の犯罪表現や、これらの手口を示唆する表現があり、それらが犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりする恐れが認められるもの。
  • 人間または動物などの肢体を分離した状態や、それらが欠損した状態の表現があり、それらが犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりする恐れが認められるもの。
  • 麻薬、シンナー等の規制薬物を不正に使用する表現があり、それらが犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりする恐れが認められるもの。
  • 不倫、不純異性交遊、売春等不健全な性風俗に関する表現があり、それらが犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりする恐れが認められるもの。
    その他粗暴性、残虐性を含む表現があり、それらが犯罪を誘発したり、人格形成を阻害したりする恐れが認められるもの。

つまり、世に出るのは「A」区分、「B」区分のものになります。
「C」区分に当たってしまったソフトは表現の削除をすることになるのでしょう。
ここまでの既定は、とりあえずのところ何も問題はないのですが、ここからが問題です。

「B」区分のソフトはユーザーに対する注意喚起が必要ということで
パッケージに注意マークが義務づけられることになります。
「黄色く四角い」ものなのですがゲームユーザーなら見かけたことがあると思います。
例えばプレイステーションのゲームならば赤い▲と並べて表記されているはずです。
さて、その中には何が書いてるでしょうか?
実はこう書かれています。
暴力・出血・ホラー表現などが含まれています

ここで考えてもらいたいのは「B」区分というのは残虐指定ではないということです。
「麻薬、シンナー等の規制薬物を不正に使用する表現」
「不倫、不純異性交遊、売春等不健全な性風俗に関する表現」
の部分が「など」になってしまっているんです。
もちろん、こうなった背景には「B」区分のゲームには残虐指定のゲームが多いということも挙げられますが、
などの部分に当たる既定を軽んじてしまっている。と取られても仕方ないのではないでしょうか?

極端な話、恋愛ゲームで「不純異性交遊」の表現があったとしても
暴力・出血・ホラー表現などが含まれています
という表記になってしまうことになります。これはおかしな話と言えるでしょう。

逆から考えますと、もし
暴力・出血・ホラー表現・不健全な性表現・不正薬物使用表現などが含まれています
のように書いてあったらどうでしょうか?買いたくなりますか?
大方の人は購買意欲が減退するのではないでしょうか?

このようにCESAの作り上げたレーティングは
いかに購買意欲を維持させたまま倫理規定をつけるかにばかり気を取られている節があります。
ポーズとしては、ゲームソフトメーカーの「自主規制」としては機能しているのですから
現時点の状況で文句のつけようは無いのですが、真面目に取り組んでいるとは言い難い事実です。

後、よく言われることですが「注意喚起」の実効性には疑問符がつきます。
注意を喚起するだけにしかなっていないからです。
結局、その「注意喚起マーク」を見て購入をためらうのはホラーが嫌いな人だけでしょうし。
それを倫理規定と呼べるのか?という結論は見えていると思います。

これを踏まえて話を戻しますが、
現状までで一番いい形だったのはセガサターン初期にセガがやっていた倫理規定なのではないでしょうか?
18歳以上推奨
もちろん、子供でも買えますが少なくとも「18歳以上推奨」を見て余計に買いたくなることはあまりないでしょう。
「注意喚起マーク」に比べてなら、なおさらです。
本当に注意喚起をしたいのならばゲームの売り上げが下がろうが、それなりの方法をするべき。
少なくともそれだけは言えます。
「低年齢者に配慮した審査システムを確立させる」
これが出来ないのなら表現の自由を語る資格もなければ映画と肩を並べようなんて夢のまた夢です。